2006/12/13

病院に欠けているサービス産業の視点

 私が胃カメラ検査を怖くなったのは情報開示(インフォームド・コンセント)がしっかりなされていなかったからだ。
説明不足で、しかも選択ができない中での診察・治療は怖い。
ホームドクターと話をしたお陰で私の不安はかなり和らぎ、やはり過去のカルテがある病院に行くか、という気持ちになり帰った。

 だが、その日の午後、知人から他の病院を紹介され、結局、新しい病院で検査を受けることにした。
そこは鎮静剤を打つ方法も打たない方法も選べると聞いたからだ。

 そして検査が始まった。
医師の説明を受けながら、モニターで自分の胃の内部を見ていく。
胃カメラが十二指腸の入り口までなかなか入りにくかったこともあり、時間もかかり、正直苦しかった。
でも、行われている診察をリアルタイムで見ている安心感はあった。
鎮静剤を打ってないため診察中ずっと緊張は続いたが。

 病院を替えるといろんな発見もあった。
「医師と患者の信頼関係は情報開示とサービス、そして医療技術」と先ほど書いたが、それらすべてのベースになるのはコミュニケーションである。
そして、このコミュニケーションを取りやすくするか否かは医師の態度が大きく影響しているということに気付いた。
事前説明をする時の態度、話すスピード、話し方によって、患者はその医師に信頼感を持ったり不安感を持ったりするのである。

 さらに追加すると、施設内空間の演出、デザインである。
そこまでいわなくても、例えば薄汚れた感じの診察台、カーテン、汚れた備品(モニターその他の機器)、埃がたまった待合室の棚などを見ると、とたんに不安感が増してくる。
どんなに技術はいいと言われても、いきなりそれを信ずる気持ちになれないのは当然だろう。

 いま多くの医療機関が経費削減、効率主義に走り、人を減らしている。
その結果、直接医療行為に関係ない部分には手が回らなくなり、掃除すら出来なくなっている。
だが、病院もサービス産業だという認識に医療関係者全員が立つべきではないだろうか。
そうする方が病院経営を立て直すことができるのではないかという気がした。

医療機関も、外部の人間を入れて改善委員会を作ってみてはどうだろう。
いっそNPOで医療機関経営改善委員会みたいなものを作ってみるか。
医療ミス・過誤、破廉恥行為など最近では「先生」はなんでもありになっている。
信頼される医療とは何かを考えるには外部の力を入れた方がいいし、そのためのお手伝いならしてみたいと思う。