2006/12/12

患者の安心感はどこから来るか。

 ここ数カ月、私は少し困っていた。
内視鏡検査をする必要性を感じているのだが、どこの病院に行けばいいのか決められなかったからだ。
以前検査してもらった病院に行くか、それとも新しいところに行くか、の選択ができなかった。
それぞれに一長一短があるからだ。

 従来の病院に行く長所はカルテ(データ)が残っているから過去との比較ができるし、医師とのコミュニケーションが取りやすいという点だ。
 病院を替えると過去データとの比較ができないが、初めての相手を診るため、医師の側に基本通りに診ようという意識も働くだろうし、方法(視点)が違ったりで、従来の病院では発見されなかった病気が発見される可能性もある。

 ただ、初めての病院は患者の側にデータがないから、医療技術の善し悪しを含め判断材料がないので不安がある。
私はどちらの選択をするか迷っていた。

 ところが、いよいよ体調不良で2日も寝込んだりしたため、どうしても病院に行く必要を感じていた。
そこで夜10時以降の飲食を控え、翌日の胃カメラ検査に備えた。
それでも当日の朝になってもなんとか行かなくてもいい理由を考えていた。
結局、選択したのはホームドクターのところでミニドックを受けることだった。

 女医さんだが(と言う言い方は少しおかしいが)、町の赤ひげ医師的で、医療の技術者と言うよりは病気の相談者的なところがあり、以前から高齢者が患者でよく来ていた。
 そこで検査を受けながら、その先生に胃カメラ検査について迷っていることを正直に話して相談してみた。

「最近は鎮静剤を打つところがほとんどです。その方が患者さんもゲーゲー苦しまなくていいし、ドクターも検査がしやすいから。意識がなくなっているわけではなく、その間にあなたも受け答えをしているはずです。覚えてないというだけで」
 と言われた。

 私がホームドクターとしてその先生を信頼しているのは、常に患者にわかりやすい説明をしてくれることと、自分の医院でできないことは、別の病院を紹介してくれるし、その場ですぐ電話をし、紹介状を書いてくれるからだ。

 だから信頼しているというのは変な言い方だが、結局、医師と患者の信頼関係は情報開示とサービス、そして医療技術ではないかと思う。
最近流行りの言葉で言えばインフォームド・コンセント(十分に知らされたうえでの同意)である。