2006/12/16

病室で二人一緒に食べる食事

 病気は体力との勝負です。体力を付けるためにも食事は摂らなければなりません。
でも、おいしくない、欲しくないと思いながら食べるのと、おいしいと思って食べるのでは明らかに効果が違います。
そこで私は妻に、3時前後に電話をしてくれるように頼みました。

「今日はどんな感じ? お昼は食べられた?」
「だめ、午前中の様子では食べられるかなと思ったんだけど、出てきたものを見たら食べられんかった」
「じゃあ、なにか買っていこうか。何がいい」
「お寿司が食べたい。巻き寿司みたいなものの方がいい」

 こんな会話の後、夕食の時間に間に合うように、食べ物を買って届けていました。
妻には私が買ったものを、代わりに私が妻の病院食を食べていました。
「結構おいしいじゃないか。だけど、これはちょっと味が濃いね」
とか言いながら。

 ついこの間まで私達の夕(夜)食は8時半から9時頃でした。
6時頃に食べたのは結婚間もなくぐらいで、以後ずっと私の夕食は早くて8時、大体9時前後でした。
仕事の関係で2人とも帰宅時間が8時過ぎですから、どうしても食事時間は遅くなっていました。

 病院のベッドの上という環境を除けば、2人一緒に食べる食事は楽しくもありました。
妻は私が買った物を、私は妻の食事を食べるという関係も一役買っていたのかも分かりません。
 食事が終わった頃に看護婦さんが必ず食事のチェックに来ます。
「今日は3分の2ぐらいです」
「あらっ、でも、きれいになくなっているわよ」
「主人が食べたんです。私は主人に買ってきてもらったものを食べたから」
 そう言う時の妻は少しうれしそうでした。